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技能五輪講演会
2007年ユニバーサル技能五輪国際大会に向けて」
厚生労働省2007年ユニバーサル 技能五輪国際大会準備室長 亀澤典子氏

 4月から準備室長を担当しています。私は山口県の生まれで、いままでは仕事の面で静岡県とは縁がなかったわけですが、改めて静岡県を勉強しました。先端的な産業が非常に多く、ユニバーサルデザインについて先駆的な取り組みが進んでいることを知り、若者たちが技を競う技能五輪国際大会と障害者の方々が技を競う大会が、同じ県内で同時に開かれるには、ふさわしい県であると実感しました。3年半後に沼津でどんなことが起きるのかということ、それから私たちが開催に向けてどんなことを考えているのかを踏まえて、皆さんに何をお願いしたいかを、お話したいと思っています。


技能五輪国際大会の概要

 第39回技能五輪国際大会と第7回国際アビリンピックが同時開催されるので、それを総称して「2007年ユニバーサル技能五輪国際大会」と呼ぼうということになっています。
 技能五輪国際大会は2年に回開かれる22歳以下の青年が技能を競う国際大会で、それぞれの国の職業訓練の振興とあわせて参加する青年技能者の国際交流と親善を図ることを目的にしています。2007年におきましては設立予定の財団法人日本組織委員会とワールド・スキルズとの共催になります。
 第回大会から2年間毎年開催し、その後は奇数年に開催することになっています。わが国の参加は962年にスペインで開かれたときからで、8人の選手が参加し、いきなり金メダル5人、銀メダルが人で、8人中6人がメダルを取る鮮烈なデビューを果たしました。メダルの数と産業の動向とはかなり関連があるようにみえ、最近の日本はメダルの数も多くありません。
 昨年のスイス大会では日本の金メダルの数は6個、一番が韓国で0個、2位が地元のスイスで8個ということで、日本は3位でした。韓国の取り組みは非常に熱心であり、ヨーロッパはものづくり技能を大切にしている国が多いのです。沼津大会を、わが国がもう一度「ものづくり立国」の復興に向けたきっかけに出来れば思っています。


直前大会は来年、ヘルシンキで

 正式競技は40職種以内と決まっております。どんな職種にするかは加盟国の総意に基づいて決定することになっていますので、静岡大会の職種はまだ決まっておりません。具体的には自動車の部品を中心にした溶接、機械の組み立て、自動車板金、旋盤など機械を使った職種の他に花を使ったフラワー装飾とか西洋料理、理容や美容などで競われています。
 正式競技をめざす職種としてデモンストレーション競技があり、開催国が独自に提案するプレゼンテーション職種もあります。具体的に日本で何にするか、ご当地と関係するものを考えています。
 来年5月末から6月初めにフィンランドのヘルシンキで次の大会が開かれます。沼津大会の直前大会です。選手は各職種ごとに一人ずつで、今年0月に岩手県で開かれる大会が国内選考会になります。大会は約2週間ですが、最初は準備にあてられ、後半の方で4日間競技があり、2日間の審査の後、閉会式になります。


25万人程度の見学者を見込む

 沼津大会の参加者は、選手が850人ぐらい、この他に審査員、応援団などが700人、合わせて2500人が大会に非常に近い関係者として来ると予想しております。
 見学者の数は国内外から25万人程度を予想して準備することになると思います。出来るだけ多くの人達に来ていただきたいと思っていますので、大会を支援する企業関係者、学校関係者、職業能力開発関係者等に働きかけたいと思っています。
 選手や審査員は30分以内に会場に着くこととなっており、それ以外の方々は移動時間にあまり制約はありませんので、多様な選択肢が提供できると思います。どこに宿泊地を置くか、いろいろなアイデアを教えていただければと思います。


第7回国際アビリンピック

 第7回国際アビリンピックは静岡市で開催されます。アビリンピックとは造語でアビリティー、能力と、オリンピックを合わせたもので、障害を持った方々が技を競う国際大会ということで国際アビリンピックという名前になっています。主催機関は、開催国と国際アビリンピック連合、IAFと国際リハビリテーション協会、RIです。2007年は開催国の関係団体が財団法人の日本組織委員会になります。大会は原則としてオリンピックのように4年に回開かれています。昨年、インドで開かれ、次に静岡で開かれます。
 大会の狙いは、世界的な規模で職業に関する障害者の職業技能の向上、職業的な自立を図り、皆さんの理解を深めることで、大会スケジュールは開会式と3日間の競技、閉会式、あわせて約週間になっています。
 競技種目は、職業技能競技と生活余暇技能競技の2つがあります。職業技能競技は障害者の方が自らの職業に関する技能を示すことを目的に行なう競技です。いままではその国の独自の判断で競技種目を決めていましたが、2007年の静岡大会以降は2種類の職種を決め、それにその国々で考えた職種を加えて実施します。生活余暇技能競技は余暇をどんなふうに楽しむのかに観点をおいた競技職種で、刺繍とかそんなものもあります。2007年大会では、少し商業に関するものを実施したいと思って検討しています。
 この他に国際会議だとかデモンストレーションといって各国独自の職種について皆さんに見ていただくこともやっています。日本では障害を持っている方で歯科技工士の方が多く、他の国ではあまりなさそうですので、わが国の特有の技能として歯科技工があることを紹介し、できれば静岡でもデモンストレーションをやりたいという話もあります。
 わが国の参加状況ですが、提唱国ですので毎回選手を派遣しています。選手の成績は技能五輪と同様に最近は韓国や台湾が非常に成績が良く、わが国の成績はあまり良くないということで、これをどうしていくかが課題になっています。


史上初の共同開催

 史上初めて2つの大会が共同開催されますので、私どもが事務局になって「技能五輪、アビリンピック国際大会静岡有識者会議」を立ち上げまして、基本理念などについて、岩手県立大学の西沢学長が座長で、石川知事、残間さんら4名の方に委員になっていただき検討していただきました。
 その結果、名称は「2007年ユニバーサル技能五輪国際大会」、キャッチフレーズは「個性輝く技能の祭典〜見せよう、伝えよう、技能で輝く個と社会〜」となっています。
 大会をめざして研鑽を積んで、さらに大会という緊張感の中で選手が非常に大きく成長するといわれています。私も昨年のスイス大会とインドで行われた国際アビリンピックも見てきましたが、大会を終わった後、ものすごく選手がいい顔をしているわけです。いろいろな能力開発をしていく中で、こういう大会があるということは凄く緊張感があって、選手たちが大会をめざしていくことが非常にいい結果を生んでいるといいます。このように技能は社会を支え、個人を輝かせるということが基本理念のまとめです。


成功に導く7つの提言

 成功に導く7つの提言をご紹介しますと、まず、つ目は、準備段階を含めて国民に参加していただいて皆様方に作っていただく大会にしよう。でき上がったものを運営していくだけではなく、どんなものにしていくのかという企画の段階から多くの方々に参画をしていただこうということです。
 2つ目は、一過性のものにしてはいけないということです。これは石川知事からきつくいわれたものですが、この大会を契機として技能振興施策ですとか、ノーマライゼーション促進施策を発展、充実させていきたいと私どもは考えています。
 3点目は先端産業における職種の拡充などをして技能五輪国際大会をさらに充実させよう、です。
 4点目は障害者の方々の職域は拡大しており、最近は知的障害を持っている方が介護の分野に行っている例もありますので、2007年大会では介護も種目にしたいと思っています。
 5番目は同時開催という特色を出すようにということで、産業観光ですとか、どんなものになるのかまったく想像がつかないのですが、世界技能会議という厚生省で検討するような会議を静岡県内で華々しく開催したいと思っています。
 6番目は参加国をより多く増やしていきたい。
 7番目は地味な大会ですので、出来るだけ多くの方に来ていただけるような戦略的、効果的な広報をやっていきたいと思っています。


2007年月4日が合同開会式

 具体的に検討を進めている点をまとめますと、 2007年月4日が合同開会式でして、会場はグランシップです。翌日から競技が始まり、5日から8日まで4日間は沼津で技能五輪国際大会の競技が行われ、その後2日間は審査ですので、選手にとっては楽しいお出掛けの日。そして2日は閉会式です。国際アビリンピックは、5日から7日までの3日間競技が行われ、並行して審査が行われます。そして8日が閉会式と表彰式です。
 技能五輪の競技ですが、選手が競技をしている周りに柵があり、間近から食い入るように見ていい、そういう大会です。4日間の競技の間は、選手は会場と宿泊先をただ往復するだけです。その緊張感の中、実力を発揮した人が頂点に上り詰めることができるのです。
 技能五輪国際大会は、だいたい40か国の参加で、ヨーロッパの国々が中心です。選手、役員は2500人、国際アビリンピックについては同じように参加は40か国を見ていますが、それはアジアの国々が中心で、選手、役員は000人。両大会合わせて見学者は25万人ぐらいを見込んでおり、もっと増やせたらいいなと思っています。


デモンストレーション種目に是非パン製造を

 職種の話をしたいと思います。技能五輪に40職種ありますのは正式職種で、その他にデモンストレーションとプレゼンテーション職種があると申し上げましたが、それぞれ新しいものを考えております。皆様方にも是非ご協力をいただきたいと思います。
 つは正式職種ですが、これは各国が集まる場で議論して決めます。静岡大会においては光ファイバーに関するものを正式種目として実施して行くべく調整して行く予定です。岩手県で来年のフィンランドの予選大会が開かれますが、岩手大会にも国内で初めて光ファイバーに関する職種ができることになりました。競技大会が業界を活性化するというと言い過ぎかもしれませんが、業界と手を取り合ってともに発展をしていけるいい例なのかなと思っています。
 2つ目、ここは皆様方のお力を借りたいところですが、デモンストレーション職種という正式種目に上がる手前のものです。ここについてですが、パン製造に関する種目を是非やろうと。江川太郎左衛門という方がこの地で初めてパンをお作りになったという歴史ある種目ですが、ただ22歳という年齢枠というのが厳しいという指摘もいただきます。皆様方のご協力で盛り上げていただけたらなと思います。
 3点目ですが、プレゼンテーション職種があります。これは開催国が自由にやれる、大会の併催イベントのようなものになるもので、若者がもっとこの沼津の地を訪れるように、大会を知るようにということで、若者に魅力のあるアニメに関する種目をやりたいと思っています。それから伝統産業に関する種目などもやっていきたい。日本の良さをここで味わってもらえるような、そんな大会の中身にしていきたいと思っています。


エクスカーションに産業観光などを

 選手や審査員は競技のほかに選手同士で交流したり、静岡県の良さを味わうためにエクスカーションと呼ばれる行事があります。スイスですと例えば湖に行くとか、ハイジが出てきそうな山の尾根伝いにバスを走らせて高い山に登ったようです。これは日本側が責任を持って提供する仕組みになりますので、具体的なご提案をいただきたいと思っています。
 そして応援団のような人たち、大会のスポンサーとして来ている企業の方たちもいるわけですが、その人達のオプションとして、癒しの湯とか、産業観光も含めて提案することも必要ですので、是非皆さんにご提案していただきたいと思いますし、地域の皆様との交流も考えていいかなと思っています。
 訪れたところの印象は、どこに泊まったかとか、どんな食事だったかに相当左右されます。どんなプログラムがあったのか、どんな人にあったのかということも相当大きな影響を与えると思います。是非ともこれを機会に皆様方に地元のファンを増やすという気持ちで考えていただきたいと思います。これが大会の成功にも大きく関係してくると思っています。競技会場は沼津と静岡で少し離れていますが、是非とも両方に足を運んでいただきたいと思います。


来年4月に日本組織委員会を立ち上げ

 2007年ユニバーサル技能五輪準備委員会が5月3日に設置された段階です。静岡県からは石川知事に副委員長になっていただきました。他にもサンフロント懇話会の岡野会長にもメンバーに加わっていただいております。心強い限りです。
 この準備委員会で具体的な大会の概要をもっと検討していきたいと思っています。大会の総合プロデューサーには残間さんに就任していただいており、出来るだけいい大会になるように準備を進めてまいりたいと思っています。
 そして来年4月には財団法人2007年ユニバーサル技能五輪国際大会日本組織委員会(仮称)を立ち上げて、ここで力強く大会の準備を進めていくことになります。


2007年問題に対応

 今は、ものづくりについて関心が高まっています。ちょうど技能者不足といいますか、若い人たちに対して、どう技能を伝承していったらいいのかということを問題として捉えている時期です。よく2007年問題とか、大定年時代とテレビ、新聞でも取り上げられていますが、2007年頃に団塊の世代の方々が定年を迎えて、ノウハウを持った技能者の方がいなくなる。今の間に若い人にちゃんと技能を伝えておかないと、ものづくりが立ち行かなくなる。由々しき問題なんだということを考えているのが、今の時期です。
 だから大会が求められているという思いを込め、来年度からの予算要求にも入れましたが、ものづくり立国の推進というようなキャンペーンを3年間かけて展開していきます。その中には例えば小中学生やその父兄などに対してものづくり技能の魅力やものづくりを体験する機会をつくったり、金メダリストの技能者の交流、技能習得をめざす人たちの支援として若者の技能大会をやっていきたいと思っています。
 それからシンポジウムの開催などを知っていただくには地域に根差した発信が非常に大事です。技能五輪選手とか、アビリンピックの選手の物語を地域ごとに発信していくことを、例えば静岡新聞のように地域に根差した新聞の方々による広報も進めていっていただくような、全体をものづくり立国キャンペーンとして厚生労働省を中心として経済産業省、文部科学省などとも協力しながら進めてまいりたいと思っています。


一体感をもったイベントに

 3年半後に、この地において何が起きるのか、再度まとめておきたいと思います。2007年月に沼津・門池地区に新設される職業訓練施設を中心に技能五輪国際大会が2週間にわたって開かれます。同時に静岡市ではアビリンピックが約週間開催されます。ユニバーサル技能五輪国際大会という名前を冠し、初の同時開催ですので、できるだけ一体感をもったイベントとする予定です。
 技能五輪国際大会に関しては、世界的な企業が設備の面で協力しており、こうしたスポンサー企業が大会にやって来ます。他に大会を支援する政府関係者ら多くの技能に関係する、それもリーダー的な方々が沼津を訪れると思います。選手らの交流プログラムも用意し、各国の大会関係者や応援団の人たちは日本文化にものすごく関心を持っていてエクスカーションを楽しみにしています。静岡県のいい面、日本のいい面についても示せるようなプログラムを考えていきたいと思っています。
 また、厚生労働省が責任を持って企画する国際会議も含めて併催イベントも開催されるということで、期間中は多くの人々がものづくり技能に触れる機会があり、さらに障害を持った人たちについて、多くの場面で支援が必要ですので、こういう対応を含めたボランティアも必要だと思います。


3つのお願い

 最後に皆さんに3つのお願いをしたいと思います。まずつは、準備段階からの参画をお願いしたいということです。一緒に作りあげていただきたい。静岡県でも秋をめざして支援委員会を立ち上げられることになっていますので、準備委員会なり、支援委員会なりに対して、提案していただきたい。
 それから今年は技能五輪全国大会が岩手であり、アビリンピックは宮城県で0月の下旬に開かれます。来年の両大会は、国内初めて山口県で同時開催されることが決まっています。是非ともご覧いただき、うまく連携をとって静岡大会をPRすることも可能だと思います。そして来年5月にはヘルシンキで技能五輪国際大会があり、静岡のPRもご一緒にしたいと思います。
 併催イベントの検討、エクスカーションプログラムの検討など検討項目はいろいろあると思います。いろいろな意味で、市民、町民、そういった方々にとっても自分の大会である、そういう意識を持って参画をしていただけたら、大変うれしいと思います。
 2つ目は、大会期間中に是非ともいろいろと関わっていただきたい。障害を持った方もいらっしゃるわけですからボランティアとか事務局員、その他として地元の方全員で迎える大会になればと思います。
 3番目は、皆様方が是非多く、大会に足を運んで、実際に技の素晴らしさを見ていただきたいと思いますし、選手と交流をしていただきたい。
 以上、お話ししたことがサンフロント2懇話会を中心にして今後の活動のご検討の際のヒントになればこんなにうれしいことはありません。ものづくり技能の振興を通じてわが国の発展を支えていく大きなムーブメントを一緒に作っていく。その核に皆様方はいらっしゃるんだという、そんな思いでご一緒に仕事が出来ればと思っています。


講師略歴

亀澤典子(かめざわ・のりこ)
昭和56年3月九州大学薬学部卒。労働省入省。労働基準局安全衛生部、環境庁などの勤務を経て、職業能力開発局能力評価課主任技能検定官、技能五輪・アビリンピック国際大会(静岡)準備室長。平成16年4月から現職。


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