矢作 先ほど、大石さんが指摘されたように、私も今回ヘルシンキで初めて技能五輪の大会を見て、こんなに素晴らしいことがあったのか気づきました。現場を見て若い人たちの目の輝きを見ると、やはりいろいろと受け止め方はあるでしょうが、いずれにしても共通していえることは、ある種の感動を覚えることは間違いないと思います。いろいろな意味のインパクトがあると思うんです。ですからとにかく、嫌だよといっている人でも連れて来てしまう。そうすれば必ず損したと思われないという感じがしています。でも、どうやって情報を発信していくのかが、1つの工夫のしどころだと思いますが、何か名案がありますか。
土居 私のイメージだと、今、バレーボール国際大会とか今度の世界陸上ほど賑々しくしなくてもいいでしょうが、ああいう見せ方も一つのヒントかなと思います。解説があったり、背景のストーリーがあったりとか、キャスターがいて、実況中継よろしく、しかも話題づくりも行ってと。中山さんのおっしゃるように確かにキラメッセで実況中継を見ることができるというのはエキサイティングかなと思いました。
中山 事前のPRも必要だと思います。皆さん、きょう会場に来られて映像を見て、技能五輪というのはどんなものかお分かりになったと思います。もしよろしければ、こういう映像を学校で生徒たちに一度見せて、こういう大会が沼津であるということを知らせる仕掛けが必要だと思います。そうしますと、自分たちが高校や専門学校でやっていることが、五輪で行われるとなりますと、興味を持った子供たちは、われわれと違って携帯電話でも連絡を取り合いますので、どんどん伝えていただけることもあると思います。
われわれとしますと、恐縮ですが、外部や海外に行った時、「実は技能五輪が開かれ、こういうことをやるんだ」ということを1人3名位に言っていただけば広まってくるのかなと思います。
矢作 若者を対象にしたメッセージの伝え方は、実はわれわれが考えているほどお金がかからないことが多いんですね。自分たちでどんどん広めてくれますから。若者の特性をきちんと捉えた上で、おっしゃる通りPRしていく方法論もきちんと明確にしていくことも必要だと思います。
土居 子供が憧れるのは若いお兄さんの技術であっておじさんの技術ではないんですね。子供がドキッとして憧れる、間違いなくその技術がこの技能五輪にはあるんですね。あの素晴らしい技術を見たいというようなことができたら、これは素晴らしいんじゃないかなと思います。小学生をターゲットにすると、お父さん、お母さんと家族連れで見に来るということがある。もう一つ、本音ベースで、短期的は別として、中長期的に自分たちの会社が儲かるようなものでないとつまらないですね。もし儲かるなと思ったら絶対寄付するんですよね。寄付が増えれば、アトラクションの規模、企画の内容もどんどんクオリティーアップになると思うんですが、いかがでしょうか。
矢作 その通りです。まず社会性ということを考えるのが、最終的には儲けにつながるんだと思います。ですから是非、ここにいらっしゃっている経営者の方々も、次世代につながるということを念頭に置いた発想でいろいろなご支援をいただけるとありがたいなという気持ちです。
今、土居さんの言われた小学生にアピールする。これのひとつの方法として大石さんのおっしゃられた金メダルを取った人たちの、取るまでのストーリー、ここのところに感動できるところがいっぱいあるんではないかと思います。あれだけ輝く目を持つ背景に何があったかということを具体的に知ると、さらに感動をきちんとした形で頭の中に植えつけることになりますから、そういうものを是非、プロがたくさんいらっしゃるSBSさんでまとめていただいて発信していただくということができるといいなあと思っています。もう一つ、かつて技能五輪で金メダルを取った人たちが、今、おじさんになってどういう人生を送っているか。ああいうことを一心不乱にやってきて、今、定年直前だけどいい人生だったと言ってくれる人が何人かいると、かなり説得力がありますよね。もう一つは実際にやっている現場の様子を大きなスクリーンでいろいろな場所から見られるようにしておき、こういうことをやっているんだという詳細を大型のスクリーンに映してみる。何だ、あんなこともやっているのならもう一度見に行こうというようなことになると、もっとよく技能五輪が目指しているところがよく伝わるのかなと思っています。
大石 是非、デジタル技術を使っていただいて、感動の場面を見せていただきたいと思います。私も一番感動したのは、実はナーシング技術といいましたか、あれに一番感動しました。実は技能というものはサービス関係のものもたくさんあります。多分これからはそういう分野が広がっていくと思いますが、ああいったものも知らしめ、そういうものも見てみたいと思います。それを見た上でやはりものづくりはいいんだなと思う方もいらっしゃると思います。是非、いろいろな形で紹介することが大事だと思います。
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