サンフロント21懇話会 静岡県東部地域の活性化を考える
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活動内容
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基調講演 平成17年10月14日(大仁ホテル)
「コミュータ空港の現状と課題」
(財団法人日本航空協会参与、 全国地域航空システム推進協議会事務局長)
井上高一氏

講師略歴

サンフロント21懇話会平成17年度総会開催

井上高一氏

昭和22年5月広島市に生まれる。昭和47年3月京都大学卒業。昭和47年4月航空会社入社。平成7月6日航空会社企画部長。平成13年6月航空会社支店長。平成15年4月(財)日本航空協会参与。平成16年5月全国地域航空システム推進協議会事務局長を兼務。静岡空港・リージョナル航空研究会委員。58歳。

 日本のコミュータ空港はどうなっているのか、伊豆の空にも何か新しい動きが出来るのかということをお話できればと思っています。
コミュータ航空というのは、定義は別に無いんですが、私どもでは00席以下の小型飛行機のことをコミュータ航空と呼んでおります。今は、50席とか70席ぐらいのクラスの非常にいい飛行機がたくさん出来ています。


開港するまでに8年間かかった天草空港

 熊本県の天草空港は、滑走路の長さが千メートルあります。これもコミュータ空港です。北九州にはたくさん空港があります。建設中の北九州空港、佐賀空港、大村湾にある長崎空港、そして大分空港と各県に空港がつずつある。それから熊本県には阿蘇山と熊本市の中間ぐらいのところに空港が出来ており、その中で天草の方々は空港が欲しいということで、天草の下島に空港を作ったわけです。
982年ぐらいから熊本県で天草コミュータ空港計画としてまとめられて、当時、広島と松山、大分空港の3地点を結んで飛んでいる朝日航空に天草に空港が出来たら飛んでくれないかと持ちかけましたが、瀬戸内海を高速船が走り出して採算性が極端に悪くなって朝日航空自身がコミュータ事業から降りました。困った熊本県は次に本田航空という本田技研の子会社に話を持って行き就航契約を締結し、県では空港設置許可申請を国に行い、設置許可が990年に降りたわけです。その後992年に本田航空自身は小型機による事故の影響もあったと思いますが、コミュータ事業から撤退すると宣言し、契約を破棄されてしまいました。
熊本県、天草の地元の方々は非常にお困りになった。いろいろ航空会社を当たってもどこもやってくれない。仕方ないから自分たちで第3セクターの航空会社を97年に設立する方針を決め、空港が出来る直前の98年に会社を設立し、飛行機も買って2000年3月に
開港しました。正式に計画が立ち上がって開港するまでに8年間かかっています。
作られたのが「天草エアライン」という会社で、平成0年0月に資本金4億9900万円で作りました。資本金が5億円を切っているのは監査役を置かなくてもいいためで、資本は県が53・3%、地元の市町が26・9%、地元を中心とした民間が9・8%を負担し、これ以外に県は5億円ぐらいで飛行機を買ってこの会社に提供し、それにいろいろな開業準備費用、部品なんかも入れますと合計26億円ほど県で助成金を出しているということです。
使っているのはカナダの飛行機でボンバルディアのダッシュエイトという39席の飛行機です。天草―熊本の路線を日往復飛んでいますが、熊本空港は熊本市の更に山の方にあり、なかなか利用者がいないわけで、実際にメインは天草―福岡という路線です。日熊本往復、福岡4往復を1機で飛ばしているということです。その他、県の防災ヘリの運行も受託してやっている。
当初、天草に火力発電所をつくるということで、その技術者が相当頻繁に往来し、最初の2年間は良かったんですが、工事が終わってガクッとお客さんが減って赤字になりつつある。赤字に対しては県と地元が協定を結び、赤字の3分の2は県が負担し、3分のは地元の市町が分担することになっている。何とかしなければいけないといろいろ議論された結果、去年0月から熊本まで飛んでいた飛行機は、熊本までではお客さんがいないわけで、さらに松山まで足を伸ばして、熊本―松山、松山―熊本、熊本―天草という串刺し運行を開始して、これが結構上手く行き始め、今、何とか息を吹き返しているところだとうかがっています。


山の中の空港、コウノトリ但馬空港

 山の中の空港に、兵庫県のコウノトリ但馬空港があります。但馬というのは、養殖したコウノトリを放したところで、コウノトリのたくさん飛ぶ町にしようとこういう空港の名前にしておられます。この空港の滑走路は200メートルです。丘を削って滑走路を作っています。城崎温泉の近くです。
兵庫県北部の但馬地方は道路事情もあまりよくない。県が地域交通システムを導入することが必要だと決定し、それを受けて85年に空港の建設地が山の上に決まり、89年に設置許可申請を航空局にして、すぐに許可が降りて90年から着手し、93年には開港しています。非常に早いですね。山を削って、削った土は谷に埋めるという格好で作られたわけで、これは非常に早く空港が開港したという事例です。
サーブと呼ばれる36人乗りのターボプロップエンジンの飛行機が、今、但馬空港から大阪の伊丹空港に日2往復だけ飛んでいます。冬場は日往復だけで、それでも一応空港として機能しているわけです。この日2往復飛ばすのにも大変苦労され、この飛行機も県が第3セクターの但馬空港ターミナル株式会社を介して運行会社である日本エアコミュータに貸与し、なおかつ利用促進のために地元の利用者には運賃補助をしています。あるいは着陸料を減免したり空港ビルの使用料を減免したり、欠損の場合に補助をしたりと、大変です。
ただ日、但馬−伊丹2往復だけでは飛行機がもったいないですから、空いた時間は日本コミュータが好きに飛んでいいですよと。その時には、賃借料を払ってくださいという契約になっています。地元の負担も結構あるんですが、こういう条件で日本コミュータが運行を継続しているという状況です。
この但馬の皆さんは、羽田空港に直行便を出したいというのが一番の悲願なんです。東京に真直ぐ飛ぶ便が欲しいと。ところが羽田空港は60席以下の小型機は、空港が混んでいますので、発着できないと国が決め、今のところは入れない。4本目の滑走路が出来れば入れるかもしれない。


空港は災害時の復旧拠点に

 この但馬の豊岡市は昨年0月に集中豪雨、台風の後の大雨で丸山川が決壊し街中が水浸しになったところです。その時にこの空港を通していろいろな救援物資が運ばれ、空港は、こういう災害時には復旧拠点として使われる。北側国土交通大臣も但馬空港を使って現地視察されている。といってもしょっちゅう災害があっては困るわけですから、普段、にぎやかな空港にしたいということから、地元では毎年のように空港フェスティバルをやっています。更には、この空港は丘の上にありまして景色がいいので、そこにレストランを作っています。安くておいしい但馬牛が食べられると評判で地元の人が結構食べに来る、そういう演出もされています。


搭乗率補償制度の能登空港

 もう一つ山の中にあるコミュータ空港に昨年開港した石川県の能登空港があります。能登半島は細長いところで、小松空港から輪島に行くのにバスで3時間くらいかかるんですね。陸の孤島だといわれています。ここに空港を作ろうということで山の中に作られています。滑走路は2000メートル。今、飛んでいるのは東京便が日2往復です。
 2年前の平成5年7月7日に開港しています。日2往復ですが、いろいろな経緯があって最初航空会社が手を上げなかった。全日空グループのエアー日本が日往復飛ばしましょうと提案され、地元では往復では困ると。最低限、朝夕日2便ないと使い物にならないということから、じゃあということで、搭乗率補償制度というものを石川県と地元が航空会社に提案しました。これは日2便飛んだ場合、2便合計した平均搭乗率が70%を切ったら、その切った分の人数分の穴埋めを地元がしましょうということで、県と地元の市町村が基金を作ってそこにファンドをつくりました。県が7000万円で地元の9市町村が億3000万円、合計2億円の安定化基金を作って、そこから航空会社に補償しますという約束です。70%を上回った場合には、上回った何がしかを地元に還元してくださいと。そういう補償制度です。
 地元はお金を払うわけですから必死になっていろいろな仕掛けを考えられて、初年度は何と79・5%と9・5%も目標を上回って航空会社から地元に9700万円還元金が下りました。2年目は600万円、地元に還元されました。初年度の79・5%というのは日本国内の全航空路線の中で最も搭乗率が高かった路線で、地元の皆さんががんばって、この路線を売りこんだ結果だと思います。


空港を中心としたにぎわい作りが成果

 それから空港を中心としたにぎわい作りという点でも工夫され、ターミナルビルを作るとき、県がビルの中にいろいろな地域の行政機能を集約しました。国の機能も含めて6の機関が入っていて200人毎日ここで働いている。つまり200人が最低、飛行機の離発着に関わらず、空港に行って仕事をしているわけです。そのためのレストランも必要でしょういうこともあって立派なターミナルビルが出来ています。
 さらには空港のすぐ横に日本航空学園という高校と大学を擁する航空技術者の養成学校を誘致し、先生と生徒を含め約000名の方がここに新しく寮を建てて住んでいます。000人というと能登の山の中に行けば人口増加率からすれば非常に画期的な話です。誘致に当たっては地元で学校の横に市の体育館をつくって学校に貸して地元と共同で使い、あるいは空港を「道の駅」にして、いろいろな店舗なんかもそこに来て、お客さんが来る工夫をしています。
それから山の中の空港ですから足がない。そこでタクシー会社数社が集って相乗りのジャンボタクシーを導入し、予約制で、例えば空港から輪島市内までタクシーで通常は5000円ぐらいするんですが、500円、ワンコインです。和倉温泉まで万4000円のところを000円で行けると。これは観光地にとってみるとうれしい話ですね。多少足が出る路線がありますが、儲かる路線の利益から赤字路線に回すプール制で路線を維持しています。
 さすがに500円では大変だというので、750円にこの秋から上るそうですが、それにしても安いということで、これ以外のところでも利用促進に向けた取り組みをいろいろ努力されている。例えば広域観光ルートを地元の皆さんがいろいろ工夫をしてモデルコースを作り、それを首都圏の旅行代理店に自分たちで売り込みに行っておられる。ビックリしたのは石川県の県庁の職員までも東京に出張の時に旅行会社に売り込みに行っているんですね。そういった行政も含めていろいろな努力をされている。あるいは特急バスを作ったり、レンタカーの乗り捨て自由とか、旅館に泊まる場合に空港からきた人は宿泊代を2割引とか、観光バスも3000円台に引き下げるとか、いろいろな努力をされている。能登空港だけではお客さんも集らないと、兼六園とか金沢、加賀地区とか広域的な観光ルートを作っていろいろ売り込みを図られているところがポイントだろうと思います。


「富士山空港」にリージョナル・エアラインを

 静岡空港ですが、私は名前を「富士山空港」にしたらどうかと提案しているんです。中国人をはじめ外国の方々にたくさん来てもらおうというためには「富士山空港」の方が分りやすいということから、こういう名前を提案しているんです。
 そして富士山空港にリージョナル・エアラインをつくったらどうかと。大手のJAL、ANAは北海道とか九州とか基幹空港に定期路線をつくるでしょう。それ以外の地域への路線というのはなかなか00席、50席、200席の飛行機だと難しいかも分らない。そういったところがまさにコミュータ航空、コミュータ空港が活躍する場なのです。都市間航空として。例えば富山であるとか、松山、熊本とか、こういったところにリージョナル航空が飛んだらいいじゃないかなと思うのです。
 あるいは札幌にしても1日せいぜい2、3往復かも分らない。それでは不便なので、その空白時間帯をコミュータ航空が飛べば、もっと便利になってたくさんの人が往来する。そういったリージョナル・エアラインを実は県民の皆さんの力でつくったらどうですかという提案もしています。みなさん、県民の一人ひとりが出資できるような仕組みがあれば、われらはコミュータ、リージョナル航空だという認識も高まるし、利用者も乗ってみようという意識になるという意味で、こういう提案をしています。
 国際線に関しても富士山空港には当然飛んでくる。韓国のアシアナ航空が手を上げられているそうですが、韓国以外にも台湾、中国からもたくさん飛んでくると思います。今、日本海側のいろいろな空港にたくさん飛んできていますが、富士山がある、あるいは伊豆がある富士山空港にはもっともっとたくさんの航空会社が来ると思います。


増える日本のリージョナル・エアライン

 日本のリージョナル・エアラインについて簡単にご紹介します。ジェイエア、日本エアコミュータ、これはもともと奄美諸島の離島を飛ぶ会社でしたが、今は本土の西日本中心にネットワークをたくさん持っています。沖縄の琉球コミュータ、これは沖縄だけを飛んでいます。北海道エアーシステムは北海道が49%出資し、道が飛行機を買って飛ばしている会社です。以上がJALグループです。
 ANAグループは、エアーニッポンネットワーク、エアーセントラル、中日本エアーラインサービス。それからエアー北海道、道が20%出資して奥尻島とか北海道の離島を飛んでいる会社です。それからアイベックスエアラインという会社があります。
 それ以外に独立系として東京都の伊豆七島を飛んでいる新中央航空、佐渡島を飛んでいる旭伸航空、北海道に今年の3月から9人乗りの飛行機で飛ばし始めたエアートランセ、長崎県と地元が39%出資しているオリエンタルエアブリッジ、先ほどの天草エアライン。こういった航空会社が小さい飛行機を運行しています。この3、4年で一気に増えて、大変な様相を示しています。
 ボンバルディアのCRA200という50席のジェット機で飛んでいる。ジェット機ですから滑走路の長さが800メートル以上ないと離発着できない飛行機です。プロペラのついているボンバルディアのダッシュ400という74席の飛行機、プロペラですから600メートルくらいの滑走路で離発着できます。小型機ではこの2種類が今、日本の都市間航空の主流になっています。
 その結果、いろいろな空港に小型機が増えていまして、小型機の割合がだんだん高まってきています。伊丹空港では48便で全体の22%なんですが、ジャンボを減らして小型機に置き換えるという国の政策変更があったために2年後には46%まで高まり、半分近い飛行機が00席以下の飛行機に替わろうとしています。鹿児島空港では40%です。高知空港では69%が既に小型機になっている。東京便以外は全部小型機です。東京便は小型機が入れませんから。札幌丘珠空港は小型機専用になっています。長崎空港とか函館空港も4割の飛行機がコミュータに替わっている。全体の約22%の飛行機がコミュータに置き換わっており、これがもう少し増えてくると思います。


航空の自由化でコミュータが増える

 2000年に航空法が変わって航空の自由化、競争促進が導入され、路線の参入の自由と共に路線の撤退の自由も担保されたということで、従来は路線撤退は非常にしにくかったんですが、自由にできるようになり、あるいは減便も自由になり、今、特に地方都市間の路線がどんどん減便され、あるいは便がなくなって、それがコミュータに置き換わってきているんです。それでコミュータが増えている。コミュータになれば一応便数も確保しますし、日往復しかなかった大型機、中型機の時代よりもコミュータで日2往復、3往復ある方が便利だと歓迎されているわけです。
 その場合に、路線によっては先ほどの搭乗率補償の様な話とか、運行費の補助とか、あるいは着陸料をまけてくれとかいろいろあります。運賃の助成も一部やっている。ということで、なかなか地方空港の運営というか、育てていくには大変なご苦労されている時期だと思います。
 それとやはり空港は、飛行機が来てお客さんが単に通過するだけでは非常に寂しいので、空港を核とした地域振興を何か出来ないかということを各地域で議論されていますし、工夫されているところだろうと思います。


「富士山空港」にどういった機能があればいいのか

 「富士山空港」にどういった機能があればいいのかということで、一つは国内線の機能、さらには国際線の機能、当然中国からも定期便が飛んできますし、そのためにはCIQという通関の機能とか、外国語の表示なども考えなくてはいけないと思います。それに加えて、にぎわいの機能としてショッピングモールを誘致するとか、おいしいレストランを作るとか、地域の集会所を作り、そこで高齢者の方々の学習プログラムを教室に提供するとか、場合によっては茶畑の上に空港が出来るわけですから茶摘み体験のコースを設定するなど、いろいろにぎわいの機能を考えたらどうか。これは一つのアイデアです。あるいは但馬空港や新潟地震の折の新潟空港が非常に防災の為に機能したということもあって、防災拠点の機能をしっかり整備されたら如何と思います。緊急防災医療センターとか緊急物資の備蓄倉庫なんかも必要かもしれない。あるいは通信施設もいるかもしれない。ここは地震が心配なところですから、特別に議論されて作ったらどうかと思います。
 観光振興という意味では、今、国を挙げて「ようこそ、ジャパン」というビジットジャパンキャンペーンをやっています。外国人観光客を2002年の524万人から200年に千万人に倍増しようという計画です。2002年の実績、524万人を国別に見てみますと3分の2が東南アジアからです。一番多いのは4分のほどで韓国、次に台湾、中国です。アメリカ人は4分のもいない。これからは韓国、台湾、中国、特に中国は地域によってはビザ無しで観光できるようにしようと進められていますので、増えると思います。中国の比率が韓国を抜くかも分らない。千万人達成のために韓国と中国の皆さんにどうやって来てもらうかをよく考えた方がいいだろうと思います。


台湾客を呼び込む能登空港

 特に今後、外国人にたくさん伊豆に来てもらう場合、考えなければいけないことがたくさんある。能登空港で台湾からチャーター便が去年37便ありました。定期便は日に2往復しかないのですが、年間ですが37便、それが今年度は90便来るということです。90便も能登空港に来るとはとても信じられなかったんですが、これは和倉温泉の皆さんが中心になって台湾に売り込んだんですね。
 中国語のパンフレットを作って、台湾の旅行社を説得して呼び込んだ。能登空港に行って和倉温泉に泊まる。それから登山バスで立山に行くルートが結構売れているそうです。そういった努力と工夫があれば実現すると。案内標識にも英語のみでなく中国語や韓国語が必要なんです。よく英語との併記は東京なんかでもありますが、英語圏の人は4分のしか来ていないわけです。残りの3分の2の人は読めないんです。
 案内標識やアナウンス、説明の問題、言葉の問題というのは重要だろうと思います。


コミュータ空港構想のポイントは地元の熱意の結集

 「富士山空港」と伊豆をどう結びつけるか。確かに道路事情がよくないという意味で、県の高速船が清水港から下田に出ていたそうですが、それも先月いっぱいで運休になっていると聞いています。台所事情が厳しいんだろうと思います。富士山空港からどういった格好でお客さんを引っ張ってくるのか。乗り合いタクシーにしても時間がかかると使いにくいでしょうし、それもあって「伊豆の国にコミュータ空港を」という議論だろうと思います。
空港を作るのが先なのか、活性化が先なのかといった議論、空港を作るにはやはり0年、5年という時間がかかるわけですね。その間放っておいていいのかというと、決してそうではなく並行して活性化の努力が、当然ながら必要なわけですね。
 仮に空港を作るといった時に、どこにどんな飛行場が必要なのかということを、ma
ずよく議論する必要があろうかと思います。どんな飛行場というのは、どんな飛行機が来るのか。どことどんな飛行機で結ぶのか。飛行機の大きさにも影響します。それから誰が飛ばすのか。専門家が必要なわけですから何処かに頼まなければいけないわけです。そういう相手が本当にいるのかという問題もあります。その場合にコストがかかるわけですから誰がどれくらい利用する可能性があるのか。事業として成り立つのか。波及効果はどれぐらいなのか。事業化の場合、地元の負担が必要なのかもわからない。でも波及効果がそれ以上にあれば、全体では意味があるだろうという評価も出来るわけなので、波及効果はどれくらいなのかという計算もしなければいけない。
 何よりやはり空港を作るには地元の熱意を結集できるのか。ここが大きなポイントだろうと私は思います。


シンプルな空港も

 この春に沖縄県の伊是名島という島に行ったのですが、那覇から9人乗りのアイランダー機が飛んでいるんですね。日往復しているんです。飛行場は60メートルしかないのですが、こういう飛行機なら離発着できるんですね。いろいろの制限があって滑走路の端から3000メートル先に高さ75メートル以上のものがあるといけないと。そういう制限はあるので、飛行場の位置とか十分な検証が必要ですが、長さだけみれば60メートルあったらこういう飛行場が出来る。これはいわゆる空港ではないのです。場外飛行場というんです。だけれどもこういう便が飛んでいるんです。定期便ではなくチャーター便と称していますが、伊是名村と商工会議所の多分両方だと思いますが、チャーター契約をして飛ばしている。そして利用者はお金を払ってチャーターのメンバーとして乗っていると。飛行場に行ってみると滑走路が一本あって、横にプレハブの小屋が一軒建っているんです。普段は誰もおらず飛行機が離発着する時に、レンタカー屋の事務所がその小屋の半分を使っており、レンタカー屋のおじさんが一人待っていると。それだけなんですね。飛行機が飛んできてお客さんが降りたら、パイロット一人ですから荷物もパイロットが降ろしてくれて、チケットを確認して、飛行機の簡単な目視点検をして飛んで帰っていくと。非常にシンプルな空港ですね。空港にはピンからキリまであるんですね。
 どんな飛行場なのかといった時に、こういった飛行場も含めて議論するといいだろうと考えます。


お客さんは元気な伊豆を見たい

 最後になりますが、伊豆をどうすればいいのか。これからパネルディスカッションでご議論されると思いますが、能登空港の時に、石川県の谷本知事がおっしゃっていました。空港ができる前は東京から能登に来るのに6時間かかっていたが、空港が出来たら時間でこられると。時間という時間価値は何にも増して代え難いと、空港が出来る前にあちこちで説いて回ったそうですが、東京のマスコミの皆さんは十分理解してくれなかったと。要らない空港をなぜ作るのかという議論ばかりだったといいます。空港を作る限りにおいては何が何でも成功させるんだと。県、あるいは地元の市町村、あるいは経済界を含めて必死になっていろいろ工夫をされて、初年度79%、2年目も成功して地元にお金が還元されてきているというぐらい、今のところ上手く行っている。
 空港を作る限り地元の皆さんががんばらなければ、ああいう風にならないんで、そういう意味では富士山空港が4年後には出来るわけですから、そこからどのようにしてお客さんを引っ張ってくるのか、十分に議論して、やはり元気な伊豆を見せてもらえれば、お客さんは元気な伊豆を見たいがために集ってくるわけです。あるがままの伊豆でいいんだと思うんです。作ったものというのはあまり感動を呼ばないんです。
 グリーンツーリズムではないですが、皆さんが元気に働いているその姿に触れて感動するんです。温泉に浸かる楽しみもありますが、そういう風ないろいろな体験ができるとうれしいわけです。元気な伊豆をどういうふうにすれば、実現できるのか。元気な伊豆に来る人もここに空港があったらもっと便利だよと言ってくれると思うんです。そういう風な声でコミュータ構想ももっともっと盛り上がるように、すればいいんじゃないかと思います。「ようこそ、伊豆へ」という動きにしていく必要があろうかと思います。是非とも元気な伊豆を作ってください。




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