サンフロント21懇話会 静岡県東部地域の活性化を考える
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寄稿
上昇局面の日本経済=懸念材料は政局=

時事通信社経済部長 中村恒夫氏

中村恒夫氏

  今年の日本経済は、好調な企業業績や個人消費の改善に支えられて、上昇局面をたどりそうだ。景気回復を背景に、日銀は量的緩和金融政策の解除だけでなく、ゼロ金利政策の見直しも模索することになろう。日本経済全体にとって、懸念材料となるのは米国経済の変調と、小泉純一郎首相退任に伴う政局リスクだ。また産業界は、新規投資先について「選択と集中」の傾向を強めており、緊縮予算の下では公共事業に依存する地域は厳しい状況が続く見通し。景況感で地域の「二極化」が進行する恐れがある。
 東証部上場企業の昨年9月中間決算は、鉄鋼や商社、銀行などの業績が大幅に改善するなど、全体では4年連続の増益を記録した。今年3月期、2007年3月期もこうした業種を中心に、「5年連続の増益になる」との見方が有力となっている。
 何と言っても、長い間不振にあえいでいた金融界が不良債権処理にめどをつけたことが大きな意味を持つ。銀行の「貸し渋り」体質が薄れていけば、企業は設備投資資金や運転資金をより調達しやすくなるためだ。
 鉄鋼の場合、世界的に需要が旺盛の上、自動車用鋼板のような高品質製品では、日本企業が優位な立場にある。この結果、原材料費が高騰しても、鋼材の販売価格に上乗せすることが可能で、増益基調を堅持する見通し。自動車業界は、新車発売の予定が少なく、盛り上がりに欠けるものの、海外販売好調を背景に、全体では堅調な業績が期待できる。
 電機業界では企業の「勝ち組」「負け組」が一層鮮明になろう。今年6月にはサッカーのワールドカップが開幕する。薄型テレビやDVDレコーダーでシェアを確保している企業が、製品の値崩れがあっても一定の利益を確保できるのに対して、後発メーカーは苦境に立たされ、一段のリストラを迫られる。製品面では、次世代DVD規格をめぐる争いが激化する公算が大きい。ソニーは今春発売の家庭用ゲーム機「プレイステーション3」に、自らが提唱する「ブルーレイ・ディスク」の機能を搭載する。一方、「HD DVD」を提唱する東芝も製品化を急ぐ構えだ。
 企業業績の好転を受けて、日本経団連は今春闘で賃上げ容認の姿勢を打ち出した。給与所得者の収入増は、個人消費の拡大をもたらし、定率減税の縮小・廃止による影響を相殺する効果があるとみられる。
 収入の増加は不動産市場の活況を促す傾向があるが、耐震構造偽装事件のあおりで、新築マンションの買い控えが進行しそうだ。ブランド力のある大手デベロッパー以外の業者には、営業面で厳しい時期が続く。
 米国では、バブル気味だった住宅市場が冷え込む恐れが指摘され、2月に米連邦制度準備理事会(FRB)議長に就任するバーナンキ氏の手腕が問われる。前任のグリーンスパン氏に比べカリスマ性に欠けるだけに、ささいな政策判断ミスが、金融・証券市場に多大な悪影響を及ぼしかねない。
 政府は6月をめどに、歳出・歳入の一体改革プランをまとめ、財政健全化の観点から消費税率の引き上げが打ち出される。消費税をめぐっては、ポスト小泉の有力後継者の間で意見が分かれており、具体的な税率と実施時期の明示について調整が難航しよう。
 衆院選で与党が大勝した後、株価が上昇したのは、「改革継続」を評価した外国人投資家の買いによるところが大きい。自民党の総裁選は9月下旬。後継者候補が改革継続と財政再建のバランスをとり、明確な方針を示せないと、外国人投資家の売りで株価が反落する可能性もある。株式市場の格言では干支(えと)について「申酉騒ぎ、戌笑う」と言われる。実際に酉に当たる05年は、システム故障というトラブルに見舞われながら、株価は上昇した。政局リスクを回避できれば、好調な企業業績とともに安定して推移すると市場関係者は期待している。



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