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寄稿

共同通信社 政治部長 橋詰邦弘

共同通信社 政治部長 橋詰邦弘
なるか政権交代 政治史刻む激動の年に

 2009年は間違いなく日本の政治史に刻まれる激動の1年になるだろう。最大の焦点は、秋までに必ず行われる衆院選。自民、公明両党の連立継続か、民主党中心の政権誕生か、文字通りの政権選択をかけた決戦が展開される。選挙前後の政界再編も必至の情勢だ。
 未曾有の世界経済危機に襲われ、衆院解散・総選挙を先送りした麻生太郎首相。政策をめぐる迷走や失言などで内閣支持率は急落し、与党内では「麻生首相では選挙が戦えない」との声も広がり始め、“たそがれ政権”の様相も呈す。一方の民主党は、政権交代の絶好のチャンスと攻勢を強め、通常国会は冒頭から激突している。
 最大の経済対策と位置付ける09年度予算と関連法成立後の春以降の解散を探るのが、麻生首相の基本戦略。総額2兆円の定額給付金を盛り込んだ08年度第2次補正予算案と関連法案をめぐる攻防が、首相にとって最初のハードルだ。
 与党側は法案を衆院再可決で成立させる方針だが、民主党は「究極の大愚策」と抵抗、バラマキ批判がくすぶる自民党内の造反を誘発しようと狙う。17人以上が造反すれば成立が阻止され、「目玉公約」を実現できない事態に陥る。首相の求心力は地に落ち、退陣を余儀なくされる「政変」の恐れも否定できない。同様のケースは、09年度予算の道路特定財源の一般財源化に伴う関連法案の採決でも想定される。
 09年度予算の年度内成立の成否も政権の命運を左右する。与野党対決のあおりで、国会空転が長期化した場合には、事態打開のために首相と小沢一郎民主党代表の党首会談が浮上。首相が09年度予算の年度内成立を条件に、「話し合い解散」に応じるシナリオも検討されるだろう。
 経済情勢にもよるが、予算と関連法が成立すれば、首相が解散に踏み切る環境は整う。首相は9月の任期満了を待たず、春から初夏にかけて伝家の宝刀の解散権を行使したい意向とされる。だが急落した内閣支持率が反転しなければ、自民党内で任期満了までの選挙先送り圧力が徐々に拡大していくはずだ。初夏までに解散を打てないとなれば、政権力がないことを証明した形となり、退陣論が台頭してくる。
 自民党内の「反麻生」の動きは、渡辺喜美元行政改革担当相の離党に同調者はなく、新党結成も視野に入れる加藤紘一元党幹事長は数集めに苦悩、盟友の山崎拓元幹事長ですら新党戦略には及び腰だ。総裁選で小池百合子元防衛相を担いだ中川秀直元幹事長ら首相と距離を置くグループも、照準は衆院選後の政界再編だけに、現時点での「結合力」は今ひとつ。とはいえ、国会論戦などで麻生首相の発言や政策が再び迷走すれば、反麻生の勢力が一気に結束して包囲網を構築する可能性は十分残り、各メディアの世論調査の数字が大きなカギを握る。
 次期衆院選は、衆院定数480のうち、公明、共産、社民、国民新などの各党、無所属などで50議席程度の獲得が見込めることから、残りの430議席前後を自民、民主両党が分け合う形になりそうだ。自民、民主両党が昨年9月から10月にかけて実施した独自の調査によると、300小選挙区で両党が大接戦を演じている。メディアの世論調査の投票行動を聞く設問では、「民主党に投票」が自民党を上回っており、「民主党政権」への抵抗感がなくなっていることがうかがえる。麻生内閣が失速した状況を勘案すれば、政権交代は現実味を帯びていると言ってもいいだろう。
 民主党が単独過半数、少なくとも比較第1党になれば、自民党を飛び出す議員が続出し、分解過程をたどることも予想される。逆に自公政権が維持されると、ねじれ解消を名目に参院を舞台に民主党議員の引き抜きが活発化するのは確実。衆院選に勝った方が再編の主導権を握る。

時事通信社 経済部長 星田淳一

時事通信社 経済部長 星田淳一
「耐え忍ぶ年」

 今年の日本経済が厳しいものになるであろうことは衆目一致するところだ。「垂直落下」とも表現される実体経済。株価は戻らず、円相場も1ドル=90円台で高止まりし、産業界からは嘆き節が漏れる。新年にもかかわらず明るい展望は少なく、「底抜けしないよう耐え忍ぶ年」(与謝野馨経済財政担当相)となりそうな雲行きだ。
 まだ明るい話題があった1年前と様変わりした日本経済で、喫緊かつ最大の問題が雇用にあることに恐らく異論は出ないだろう。年明け早々、本格化する春闘交渉では雇用を最大のトピックに厳しい展開となるのは避けられない。
 既に経営側と組合側は水面下で鍔ぜりあいを演じている。8年ぶりのベアを要求する連合に対し、経営側は「ベアは困難と判断する企業も多い」と賃上げをけん制。焦点の雇用維持についても経営側は「安定に努力する」との「努力目標」を掲げるにとどめている。今春闘では正社員だけでなく、非正規労働者問題もこれまでにも増して問われる。「派遣切り」が社会問題化しているだけに、労使双方が一層知恵を絞って妥協点を探ることが求められる。
 懸念されるのは雇用調整が進めば、個人消費も落ち込み、成長率がさらに下押しされるという負のスパイラルに陥りかねないことだ。こうした事態が進めば、ただでさえ効果が疑問視される政府の経済対策が実質的に乏しいものになる可能性が高まる。
 世界的にデフレ懸念が強まっていることも懸念材料だ。日本では資源価格の上昇に伴い、消費者物価指数(CPI)が一時上昇を続けた。しかし、08年後半にかけて資源価格の下落に加え、急激な景気後退の影響から物価上昇の鈍化傾向が鮮明になった。エコノミストの間では09年央にもマイナスに陥るとの予測も出ている。
 世界の景気回復のカギを握る米国でも昨年11月のCPIが季節調整後で前月比1.7%低下し、過去最大の下げ幅を記録、デフレ圧力がこれまでになく強まっている。
 その点、オバマ米政権が打ち出す景気対策に期待が高まる。オバマ氏は既に景気対策の概要を発表、その柱は大規模インフラ投資や情報スーパーハイウエーの再構築などで、これらの措置により300万人の雇用効果を生み出すことを目指している。近々、さらに肉付けした景気対策も取りまとめられる予定。危機発生源となっただけに米国が責任を持って積極的な対策を打ち出すことに世界から注文めいた期待も強まっている。
 日本も、福田内閣から麻生内閣まで計3回にわたり、総事業規模75兆円の景気対策を打ち出した。政府はその上で、09年度政府経済見通しでゼロ成長を見込んだ。
 ただ、それでも民間シンクタンク15社からは同年度成長率見通しで厳しい数値が発表されている。平均は実質でマイナス0.8%、名目でマイナス0.7%。IMFは既に09年に日米欧が一斉にマイナス成長に陥るとの世界経済見通しを発表している。いかに世界全体が異常に冷え込んだ状態にあるかが伺える。
 一方で、景気循環論では平均的な後退期は16−20カ月とされる。今回の景気後退入りの時期では正式判定はまだ出ていないが、有力視される07年11月が転換点となれば既に12カ月以上経っている計算。過去の景気循環論に準ずると今後1年以内に回復に転じることになる。ただ、現実には「百年に一度」と表現される経済危機。過去の例を論じてもさほど意味がないとして、一部には36カ月は続くとの見方をするエコノミストもいる。麻生太郎首相は「世界の中で、最も早くこの不況から脱するのは日本」(年頭所感)と意気込みを見せるが、残念ながらそれは言うほど簡単なことではない。



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